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就活マン物語 vol.2 -『苦。』

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世の中に溢れる就活本、就活サイト...。
断言します。そこに書いてある内容は99%同じです。
それに気づいて大学のキャリアセンターに行っても、もう遅い。添削内容・アドバイスはその大学の学生全員に同じことを言うので当然ありきたり...。
それでは当然、他の就活生との差別化などできるはずがなく、評価される訳がありません。

そんな就活生への劇薬こそ、、、
この『就活攻略論』です。

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vol.1
shukatu-man.hatenablog.com
 
 

 
 
なぜ父親は家に帰らないのだろう。
 

今思うと、20年間働いてきた職場が、
一瞬にしてなくなる空虚感。
 
 
そして、ひとりの妻とふたりの息子を養うという重圧。
 
 
 
 
この二つが重くのしかかっていたんだな。
 
 
そう冷静に考えることができる。
 
 
 

 
 
 
 
そんな父親と母親は、毎晩喧嘩をした。
 
 
 
 
まだ小学3年生と1年生の僕たちは、
9時に布団に入っても、12時までは眠れない。
 
 
 
 
 
なぜか、喧嘩の声で起きてしまうからだ。
 
 
 
その頃の僕の筆箱には、
ペン先の反対側が噛み砕かれた鉛筆が入っている。
 
 

授業中に家庭のストレスが原因で、
鉛筆を噛み砕くというクセがあったからだ。
 
 

お陰で、顎が鍛えられたなんていう冗談を言う暇もなく、
毎晩喧嘩は続いていた。
 
 
 
 
 
ばっちーん。

ドン。
 
しゃりん。
 
 
しまいには、ヅド。
 
 
 
 
 
 
 
このヅドという音は、
父親が机に包丁を刺した時の音。
 
 
 
 
 

そんな毎日が1年続くと、
家庭崩壊を導く決定的な出来事が起きた。
 
 
 
 

 
 

仕事をしていない父は、
どのように家庭にお金を入れていたのか。
 
 
 
「知人に借りている」といったお金は、
消費者金融から借りたものだったのだ。
 
 
 
 

 
 
小学4年生の夏。
 
 
 
小学校から帰ると、
その日は珍しく家で1人、留守番をすることになっていた。
 
 
 
 

ぷるる…ぷるる…ぷるる…
 
 
 
 
 

しーんと静まり返った家に電話の音が響き渡る。
 
 
 
 
 
ぷるるぷるるぷるる。
 
 
 
 
 
 
 
その音は次第に大きくなっているようにも感じた。
 
 
がしゃ。
 
 
僕は電話に出た。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「おい、お前、藤井の息子だな?」
 
 
 
 
 
 
 
 
「はい。」
 
 
 
 
 
 

ここで電話を切っていればよかった。
しかし、そんなことは当然できない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「今から、お前のこと殺しにいくからな。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

電話が切れた。
 
 
 
 
その時の恐怖感は、
とうに10年も前のことなのに今でもしっかりと、
本当にしっかりと頭の中に残っている。
 
 
 
 
 
 

押入れに走った。
 
 
 
 
押入れの扉を開け、ただ隠れた。
 
 
 
 
 

暗く閉鎖された空間の中で、
僕はただ隠れることしかできない。
 
 
 
 
 
 

殺されるかもしれないという恐怖感は、
まだ10歳の僕には早すぎた。
 
 
 
 
 
 
 
体は震え、涙が溢れた。
 
 
 
 
 
片付けられた布団の隅を、またえんぴつの先のように、
噛み続けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
バタン。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

扉があいた。